生体の営みは全てバランスの上に成り立っています。
自律神経の働きなどはバランスの典型例です。
どちらかに傾き過ぎると体調が崩れてくる。
同様に、近年の健康志向の中で「抗酸化」は絶対的な善のように扱われることが多いですが、生体の恒常性を考えると、酸化ストレスも一定量は必要な役割を果たします。
例えば、適度な酸化ストレスはホルミシス効果を通じて細胞の防御機構を活性化し、ミトコンドリアの機能向上や抗酸化酵素の発現を促します。
また、適度な活性酸素(ROS)は免疫機能の一部としても重要で、病原体の排除や細胞シグナル伝達に関与します。
むしろ、過剰な抗酸化物質の摂取が逆効果になるケースもあります。
例えば、運動後に過剰な抗酸化サプリ(ビタミンCやE)を摂取すると、運動によるミトコンドリアの適応が阻害される可能性が指摘されています。また、一部の研究では、β-カロテンの過剰摂取が喫煙者において肺がんリスクを高めることも示されています。
したがって、健康なライフスタイルを考える際には、「適度な酸化ストレスを許容し、過度に抑えすぎない」というバランスが重要でしょう。例えば、適度な運動、断食、温冷刺激(サウナや寒冷浴) などは、酸化ストレスを適度に与えることで、ホルミシス的な恩恵をもたらすと考えられます。
実際の臨床でも、がん患者さんに対しても抗酸化アプローチを優先するのか、軽度の酸化ストレスを与えるアプローチを優先させるのか考えるのです。
この患者さんのケースだとこのアプローチが良いと考えられても、ご自分でビタミンC点滴が良いと聞いたので、やって下さいと来られることもあります。
まぁ、患者さんの希望を優先させますが….